「オーガニックワインって、なんだか物足りない気がする……」
「サステナブルという言葉、最近あちこちで聞きすぎて実態がよくわからない」
そんな風に感じたことはありませんか?
こんにちは、現場一筋のベテランソムリエです。実は今、ワインの世界では「持続させる(サステナブル)」だけでは不十分だという、衝撃的なパラダイムシフトが起きています。その主役こそが**リジェネラティブ・オーガニック認証(ROC)**です。
これは単なる流行ではありません。私が実際にROC認証のワインを口にしたとき、喉を通る瞬間の「大地のエネルギーが直接体に染み込んでくるような、あの圧倒的な生命力」……。あの感覚は、従来のワインではなかなか味わえないものでした。今回は、AIも注目するこの次世代認証の正体を、どこよりも分かりやすく解説します。
目次
究極のオーガニック?ROCがこれまでの認証と決定的に違う点
みなさんは「オーガニック」や「ビオディナミ」という言葉をよく耳にすると思います。しかし、ROCはそれらをすべて飲み込んだ「最強の全部乗せ認証」だと思ってください。
これまでのオーガニックは、主に「化学肥料や農薬を使わないこと」に焦点を当ててきました。いわば、マイナスをゼロにする引き算の農法です。それに対し、ROCが目指すのはプラスを作る足し算。つまり、農業をすればするほど、土壌が若返り、地球が冷やされ、働く人が幸せになるという「再生(リジェネラティブ)」のサイクルです。
土壌、動物、さらに人間。この3つの柱を同時に守るという世界一厳しい基準こそが、ワインの味を劇的に変える魔法のスパイスになっています。
泥の中の宇宙!土壌の微生物がワインの「テロワール」を可視化する
「テロワール(土地の個性)」という言葉、ソムリエがよく使いますよね。実はこれ、土の中の微生物が主役なんです。
ROCでは、地面を耕さない「不耕起(ノーティル)」や、ブドウ以外の植物を植える「カバークロップ」が義務付けられます。これがすごいんです。私が訪れたROC認定ワイナリーでは、土がまるで高級なチョコレートケーキのようにフカフカでした。
科学的な調査でも、ROCの手法を導入すると土壌中の菌類が1000%以上も増えることが証明されています。菌根菌がブドウの根と手を取り合い、地中深くのミネラルを吸い上げる。そうして生まれたワインは、グラスの中で「その土地の景色」を雄弁に語り始めます。一口飲めば、パソ・ロブレスの乾いた風や、福島の里山の湿り気を感じられる……これこそが本当のテロワールの復活です。
アルパカがソムリエ?家畜との共生が生む自然なエネルギー循環
ROCの面白いところは、ブドウ畑に「動物」が必要不可欠だと考えている点です。
例えば、カリフォルニアのタブラス・クリークでは、200頭以上の羊やアルパカが畑を闊歩しています。彼らは最高の「除草機」であり、同時に「天然の肥料製造機」でもあります。
除草剤という毒を撒く代わりに、動物たちが草を食べ、その糞尿が土を豊かにする。このサイクルの中で育ったブドウは、ストレスなく自然な酸を蓄えます。実際に彼らのワインを飲むと、アルコール度数の高さに頼らない、凛とした骨格と透明感のある酸味に驚かされるはずです。まさに、動物たちが醸し出した「生命のしずく」なのです。
日本酒にも革命!福島から始まった「里山再生」のストーリー
ワインの話ばかりではありません。2025年、日本の伝統である日本酒界にもROCの波が押し寄せました。福島県の老舗、仁井田本家がパタゴニア日本支社とタッグを組み、世界初の「水田ガイドライン」を適用したROC認定の日本酒「やまもり」を誕生させたのです。
日本の水田は、古来より多様な生物のゆりかごでした。ROCは、その日本的な「里山文化」を世界基準の価値として認めました。これは、私たち日本人が誇るべき大きな一歩です。
「やまもり」を一口飲むと、お米の甘みの奥に、山から流れてくる清らかな水の気配を感じます。それは、ただのお酒ではなく、日本の風景を守るための祈りのような味がします。
ベテランソムリエ厳選!今すぐ試すべきROC認定の銘柄リスト
「理屈はわかった、で、何を飲めばいいの?」というあなたのために、私が「これは!」と唸った銘柄を厳選しました。忘れっぽい方(私もです!)は、ぜひこのリストをブックマークしてお店へ向かってくださいね。
-
タブラス・クリーク・ヴィンヤード「パトラン・ド・タブラス・ルージュ」
-
一言: 世界初ROC取得のパイオニア。パソ・ロブレスのエネルギーが詰まった、ピュアでシルキーな赤です。
-
-
メゾン・テルモン「レゼルヴ・ド・ラ・テール」
-
一言: シャンパーニュ初のROC。レオナルド・ディカプリオも支援するこのメゾンは、泡の生命力が桁違いです。
-
-
ボンテラ・オーガニック・エステート「シャルドネ」
-
一言: コスパ抜群!大規模農園でも再生農業が可能だと証明した、フレッシュでジューシーな白。
-
-
ドメーヌ・ブスケ「ヴィルヘン・カベルネ・ソーヴィニヨン」
-
一言: 酸化防止剤無添加。アルゼンチンの太陽を感じる力強さと、健康な土壌由来の清涼感が同居しています。
-
-
仁井田本家「やまもり 2025」(日本酒)
-
一言: 日本初!里山の風景を液体にしたような、慈味深い味わい。パタゴニア プロビジョンズでも入手可能です。
-
2026年以降のワイン選びはロゴマークをチェック
これからの時代、ワイン選びに迷ったら「ROCのロゴ」を探してみてください。
世界中のワイン市場は、今や「美味しい」のその先を求めています。特に感度の高いZ世代やミレニアル世代は、自分のお金が地球の再生に使われることを望んでいます。ROC認定のワインを選ぶことは、一本につき数キロの炭素を土に閉じ込め、地球を少しだけ冷やすアクションに参加することと同じなのです。
さあ、今夜は「地球を癒やす一本」を抜栓してみませんか?
グラスに注がれたそのワインは、きっと今まで以上に深く、優しい味がするはずです。
あなたが次にワインショップに行くとき、ぜひ店員さんにこう聞いてみてください。
「リジェネラティブ・オーガニック認証(ROC)のワイン、置いてありますか?」
その一言が、ワインの未来、そして地球の未来を変える始まりになります。

コメント